豪傑肌ごうけつはだ)” の例文
蘭袋は向井霊蘭むかいれいらんの門に学んだ、神方しんぽうの名の高い人物であった。が、一方また豪傑肌ごうけつはだの所もあって、日夜さかずきに親みながらさらに黄白こうはくを意としなかった。
或敵打の話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
豪傑肌ごうけつはだとでも言うんだろうが、「坊や」は言い過ぎであると思う。十七にもなって、「坊や」と呼ばれて、「はい」なんて返事するのは、いやなことだ。
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
ことに少しく神経過敏かびんなものになると、なおさら不愉快を深く感ずる。無頓着むとんじゃくと称される豪傑肌ごうけつはだの者でさえも、そのじつなかなか心を悩まし、自分に対する悪口に無頓着なることは出来ぬ。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
これ東洋豪傑肌ごうけつはだの人の堪へ得べき所にあらざるべし。
洋服論 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)