譲受ゆずりう)” の例文
旧字:讓受
この塚山という人はその父から譲受ゆずりうけたある電気工場の持主であったが、普通選挙の実施せられるより以前、労働問題の日に日に切迫して来るのを予想し、早く工場を売卻ばいきゃくして
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
細長い地所でしたが、持主に懸けあって、裏隣の地所もいつか譲受ゆずりうける下約束もしたのです。そこは小家ながら茶がかった室もあり、古びてもしっかりした土蔵が附いていました。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
重吉が種子の遺産として譲受ゆずりうけた五千円の貯金はその時なくなってしまう。つづいて勤先つとめさきの会社が突然解散せられる。種子が形見の貴金属類は内々ないないでとうの昔売りとばされた後である。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)