警醒けいせい)” の例文
そこでこの懇親会の輪番幹事の一人たる畑が、秋水を請待しょうだいして、同郷の青年を警醒けいせいしようとしたのだと云うことは、問うことをもちいない。
余興 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
全篇の主旨となす所は近年英両国の入寇にゅうこうおよび回教匪徒ひとの反乱とに際して、清国の武備のはなはだ到らざることを慨歎し、以て世を警醒けいせいするにあった。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
攘夷を以て天下を警醒けいせいする方便なりとなすものと、攘夷を以て目的なりとなすものと、また攘夷を以て政権推移の手段となすものと、一種の大同団結をなしたるが如きも
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
したがって文筆の力で自分から卒先そっせんして世間を警醒けいせいしようと云う気にもならなかった。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
バプテスマのヨハネの教えは、生命の化石した形式主義的な当時の宗教に対し、一大警醒けいせいを与えた宗教改革であった。彼のバプテスマは「罪の赦を得さする悔い改めのバプテスマ」と称せられた。
キリスト教入門 (新字新仮名) / 矢内原忠雄(著)
さらにつまびらかにこれを言えば世界の大勢はもってわが人心を警醒けいせいし、わが人心は世界大勢必至必然の圧力に迫られ、ついに意外の大事業をなし、永劫未来いまだかつて見ざる
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)