謙譲ひかえめ)” の例文
旧字:謙讓
秋作氏は、てらい気のない、素直なこの従妹いとこがだいすきだった。小さい時から、親切で、謙譲ひかえめで、誰からでも愛される不思議な徳を持っていた。
キャラコさん:01 社交室 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
浜子夫人のほうも、寛大で謙譲ひかえめで、そのくせ、どこは硬骨ほねのあるこのキャラコさんが大々だいだいのひいきで、進級祝いなどには、あッと眼を見はるような豪勢な祝品いわいものをかつぎ込んだりする。
キャラコさん:06 ぬすびと (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
作者が謙譲ひかえめなのをいいことにして、引繰り返って眼を剥いたり、横を向いて舌を出したり、今度はまた罪もないとめ婆を絞め殺したり、実にどうも馬鹿にし切った態度をとるようになった。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)