詳細しょうさい)” の例文
瞬間、彼はけがれた。——その後もっとひどいことがあった。ほとんど昏迷こんめいの域にあったので、詳細しょうさいの記憶はない。
幻化 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
佐助は春琴の死後十余年を経た後に彼が失明した時のいきさつを側近者に語ったことがありそれによって詳細しょうさいな当時の事情がようやく判明するに至った。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
その脅迫状の内容というのは、小山田氏と静子夫人の夫婦としての夜の生活を、非常に詳細しょうさいに書きつづってあるのです。それは夫妻ならでは絶対に知ることのない内緒ないしょごとでした。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
単に情痴ならばあのような破目はめに落ちずとも、少くとも彼ほどの男なら、もっと悧口りこうに身を処することが出来る筈なのだ。もっと深い処で彼は身を賭けたに違いないのだ。しかしその詳細しょうさいは判らない。
日の果て (新字新仮名) / 梅崎春生(著)