角力すま)” の例文
ふと眼がかち合うと、疑いに満ち、相対峙あいたいじして譲らない二つの心が、稲妻のように閃き、角力すまおうとするのを、互に鋭く感じる。そんな瞬間、言葉は空虚に感じられて恥しい。
伸子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
或る朝老僧の舍監を勤むるが、我臥床ふしどの前に來しに、われ眠れるまゝに眼をみひらき、おのれ魔王と叫びもあへず、半ば身を起してこれに抱きつき、暫し角力すまひて、又枕に就きしことあり。
草の香にはずむ吾子あこゆゑはてはなしあはて角力すまひて父はころぶを
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)