観世くわんぜ)” の例文
むかし観世くわんぜの家元に豊和とよかずといつて家の芸はもとより、香聞かうきゝにも一ぱし聞えた男がゐて、金春こんぱる流のなにがしと仲がよかつた。
で、茶の間の雑談のうちにすすめられたかねだられたかしたのだらう、あるとき大曲の観世くわんぜの家元に一席とつて二人で見にいつた。私はまづ見所の行儀のよさ、静粛さが気に入つた。
能の見はじめ (新字旧仮名) / 中勘助(著)