親仁とっさん)” の例文
黒服の親仁とっさんは、すっぽりとちゅう山高を脱ぐ。兀頭はげあたまで、太いくび横皺よこじわがある。けつで、閣翁を突くがごとくにして、銅像に一拝すると
肩まで霧に包まれたその足と、台座の間に、ちょぼりと半面を蟋蟀こおろぎのごとく覗かせて見ていた、ほこりだらけの黒服の親仁とっさんが、ひょいと出た、妙な処に。
親仁とっさんは、てくてくと歩み寄ると、閣翁父子の背後うしろへ、就中なかんずく、翁の尻へ、いきなり服の尻をおッつけるがごとくにして、背合せなかあわせに立った。すなわち銅像に対したのである。