見巧者みごうしゃ)” の例文
見巧者みごうしゃをはじめ、芸人の仲間にも、あわれ梨園の眺め唯一の、白百合一つしぼんだりと、声を上げて惜しみ悼まれたほどのことである。
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
見巧者みごうしゃという人々からも賞讃され、一座の鶴枝、米花等もみな相当の達者揃い、その時の富樫は鶴枝で、これがまた左団次張り、この勧進帳で粂八は大いに売り出したものです。
明治世相百話 (新字新仮名) / 山本笑月(著)
その雛段にも連中はならんだから、魚河岸うおがしとか新場とか、大根河岸だいこんがしとか、吉原や、各地の盛り場の連中見物、その他、水魚連すいぎょれんとか、六二連ろくにれん見連けんれんといった、見巧者みごうしゃ、芝居ずきの集まった
なかなか見巧者みごうしゃというやつがいて、役者がドジをやると半畳をうちこんだものだが……そいつがすきがなかったね、聞いていて胸の透くようなやつがあったくらいだから、役者にもピンと来て
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
権十郎は家柄がいゝのと、年が若くて男前がいゝのとで、御殿女中や若い娘達には人気があって「権ちゃん、権ちゃん」と頻りに騒がれていたが、見巧者みごうしゃ連のあいだには余り評判がよくなかった。
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)