西洋むこう)” の例文
座右に放さなかった「アミイルの日記」と、サイモンヅの訳したベンベニュトオ・チェリニーの自叙伝とは西洋むこうに誂えて取ったものであった。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
書棚は壁に片寄せて、けんの高さを九尺つらねて戸口まで続く。組めば重ね、離せば一段の棚を喜んで、亡き父が西洋むこうから取り寄せたものである。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ろくなお世話も出来やしないけれど、どこかいいところへ異人館へ小間使いにやっておけば、運がよければ主人に気に入って、西洋むこうへでも連れて行かないものとも限らない。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)