“裡面(りめん)” の例文
その一見、平々凡々な、何んでもない出来事の連続のように見える彼女の虚構の裡面(りめん)に脈動している摩訶(まか)不思議な少女の心理作用の恐しさ。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
『いやいやこう見えても必ずその裡面(りめん)に何等かの清浄ならざるものがあるに相違ない』とルパンが云った。
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
一方に凡悩あり。一方に仙縁あり。一方に毒業あり。一方に無染あり。一方に無慾あり。一方に菩提あり。一方に畜生あり。表面を仏界なりとせば、裡面(りめん)は魔界なり。
一神教の裡面(りめん)は一魔教なり、多神教の裡面は即ち多鬼教なり、一神教には中心の権あるが故に中心の善美あり、是と同時に一魔教にも中心の統御あるが故に中心の毒悪あり
他界に対する観念 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
所謂(いわゆる)、近代文明って奴の裡面(りめん)には到る処にこうした恐ろしい地獄が転がっているんだ。勿論、俺自身が、その中からタタキ上げて来たんだから部下に文句は云わさないがね……。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それは小型の極上象牙紙(アイボリイ)に新活字の四号で呉井嬢次(くれいじょうじ)と印刷したもので、裡面(りめん)を返してみると印刷かと思われる綺麗なスペンシリア字体で George, Cray. と描いてある。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
文芸の範囲に於て善悪を説くは、裡面(りめん)より之を談ずるなり。
内部生命論 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)