衣通そとおり)” の例文
古事記には軽太子かるのひつぎのみこが伊豫の湯に流された時、軽の大郎女おおいらつめ衣通そとおり王)の歌ったもので「君が行日長くなりぬ山たづの迎へを行かむ待つには待たじ」
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
衣通そとおり媛の藤原郎女いらつめであり、禊ぎに関聯した海岸にり、物忌みの海藻の歌物語を持ち、また因縁もなさそうな和歌浦の女神となった理由も、やや明るくなる。
水の女 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
「播磨守殿ともあるべきお人が、それほどのことを御存じないか。そのむかしの光明こうみょう皇后、衣通そとおり姫、これらの尊き人びとを、お身は人間にあらずと見らるるか。但しは魔性の者と申さるるか」
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)