行先ゆくて)” の例文
鶏の鳴きかわす声が遠近あちこちの霧の中に聞える。坂を越して野辺山が原まで出てまいりますと、霧の群は行先ゆくてに集って、足元も仄暗ほのぐらい。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
下りしが下りてグルリと𢌞つて見ると方角さらに分らずいづれが行先ゆくて歸る道と評議する顏を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
行先ゆくてにあたる村落も形をあらはして、草葺くさぶきの屋根からは煙の立ち登る光景さまも見えた。霧の眺めは、今、おもしろく晴れて行くのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
行先ゆくても暗く聲を呑み
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)