衆人ひとびと)” の例文
やがて銅貨三銭をもってかいより始めつ。帽子を脱ぎてその中に入れたるを、衆人ひとびとの前に差し出して、渠はあまねく義捐ぎえんを募れり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
めくらにして七十八歳のおきなは、手引てびきをもれざるなり。手引をも伴れざる七十八歳のめくらの翁は、親不知おやしらずの沖を越ゆべき船に乗りたるなり。衆人ひとびとはその無法なるにおどろけり。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)