螢澤ほたるざは)” の例文
新字:蛍沢
「早速本題に入りますがね。谷中三崎町から谷をへだてて向うの、千駄木螢澤ほたるざはに、源氏長屋といふのがあるのを御存じですか」
言ひにくかつたら、俺が代りに言つてやらうか、——お前は何にかのわけがあつて、時々姿を變えて、螢澤ほたるざはに通ひ、鈴川家の弟佐野松さのまつと逢つてゐた。
そこで鈴川主水は義弟の佐野松と、愛弟子の杵太郎と、下男の猪之松だけを從へ、偏僻へんぴな千駄木螢澤ほたるざはに隱れて、再び芽の出る日を待つてゐたのでせう。