“藻拔(もぬ)” の例文
新字:藻抜
「それが親分、唯の行方不知とはワケが違ひますよ。何しろ内から戸締りをしたまんま、床が藻拔(もぬ)けの殼(から)で、寢んでゐた筈の娘が煙のやうに——斯う」
唐紙を押し倒すやうに飛込んで行くと、お糸の床は藻拔(もぬ)けの殼(から)で、その側に女中のお千代が、あまりの事に尻餅を突いたなり、ろくに口もきけません。
「それが、翌る朝見ると床は敷いてあつたが、お姉樣は藻拔(もぬ)けの殼(から)であつたと言ふんでせう。——床の中で聲を掛けたとすると、その後で着換をして脱出したわけですね」