藕糸はすいと)” の例文
旧字:藕絲
若人等は、この頃、氏々の御館みたちですることだと言って、そのの池の蓮の茎を切って来ては、藕糸はすいとを引く工夫に、一心になって居た。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
生命はとどこおるところなく流動する。創造の華が枯木にも咲くのである。藤原南家の郎女いらつめ藕糸はすいとつむいで織った曼陀羅まんだらから光明が泉のようにきあがると見られる暁が来る。
藕糸はすいとのまるがせが、日に日に殖えて、廬堂の中に、次第に高く積まれて行った。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)