蔵王権現ざおうごんげん)” の例文
右へ折れる方は花の名所の吉野山へかかり、橋を渡るとじきに下の千本になり、関屋の桜、蔵王権現ざおうごんげん吉水院きっすいいん、中の千本、———と、毎年春は花見客の雑沓ざっとうする所である。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
玄弉三蔵げんじょうさんぞうは、悟りを開く前に六道を見、我が国の日蔵にちぞう上人は、蔵王権現ざおうごんげんの力で、六道を見たと言いますが、まのあたり六道をご覧になるなどは、めったにできない事ですよ」
見おろす吉野一帯の春景色——蔵王権現ざおうごんげんの堂を中にして、山の背一筋の長嶺ながねの人居の両側に切り落した様になった勾配の青麦畠、小竹藪、遠い竜門・高取・金剛・葛城を繋ぐ霞み渡った青空
花幾年 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
花の山蔵王権現ざおうごんげんしずまりぬ
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)