蓬生よもぎう)” の例文
しかし生絹をこのまま蓬生よもぎう蜘蛛くもの巣だらけな穴のような家に、眉をすすけさして置くのは本心ではなかった。
荻吹く歌 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
十時頃ですが、まだ日よけの葭簀の下に朝顔が開いていて美しゅうございます、ひどい蓬生よもぎうの宿になってね、その雑草の中に、這い次第に咲く朝顔は風情深うございます。
蓬生よもぎう日記」の十月九日のくだりには
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
右馬の頭はもういうこともなく、点頭うなずいて見せた。このままのなりわいを続けて行ったら、生絹すずしは泥くさい田舎いなか女になり果て和歌の才能すら難波の蓬生よもぎうのあいだにうもれてしまわねばならない。
荻吹く歌 (新字新仮名) / 室生犀星(著)