葛原くずはら)” の例文
そこの葛原くずはらヶ岡には、白い幕を引いた死の座がもう風の中に出来ていて、矢来やらいの竹がカラカラと虚空こくうに魔の笑いのような音をたてていた。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは東海道横浜にござった、葛原くずはら(八郎の母方の姓)の妹娘のこつを入れて、——仲仙道上田にござる姉娘がの、去年供養に見えた一具じゃが、寺で葬るのに墓を穿った時よ。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
葛原くずはら、富士見原、西小路、これらの遊女町は取り払う」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
だから彼の本陣を仮粧坂とはんでも、じっさいには仮粧坂まで進出できず、当夜まだ、葛原くずはらおかの西で形勢を見ていたものとおもわれる。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)