萵雀あおじ)” の例文
かんざしの玉のような白い花の咲く八ツ手の葉陰には藪鶯やぶうぐいす笹啼ささなきしている。ひよどりは南天の実を啄もうと縁先に叫び萵雀あおじ鶺鴒せきれいは水たまりの苔を啄みながら庭の上にさえずる。鳩も鳴く。四十雀しじゅうからも鳴く。
写況雑記 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
かつて語りけるは小鳥もいろいろ集めて見る時は日本在来のものは羽毛うもうの色皆渋しと。まことや鶯、繍眼児めじろひわ萵雀あおじの羽の緑なる、鳩、竹林鳥るりの紫なる皆何物にも譬へがたなき色なり。
一夕 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)