菊水きくすい)” の例文
二人は精養軒で食事を済せると自動車を呼ばせて、明智の泊っている赤坂あかさか菊水きくすい旅館に向った。紋三は妙にうれしい様な気持だった。
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
その慈光寺の門には金の大きい菊水きくすいの紋が打たれて居て、その下に売薬の古い看板がかゝつて居ました。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
鉄道省のホテルが出来たのはそれから少し後のことで、当時はそこと、菊水きくすいとが一流の家であった。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
菊水きくすい御旗みはたの下で、働かせていただきたい、大義の兵となって、あなたの馬前で死にたいと——ほとんどすべての捕虜が、誓って、小楠公の手についてしまったということだ。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかも定紋は菊水きくすいであった。
弓道中祖伝 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)