“莟(ツボミ)” の例文
磨(ミガ)かれぬ智慧(チヱ)を抱いたまゝ、何も知らず思はずに、過ぎて行つた幾百年、幾万の貴い女性(ニヨシヤウ)の間に、蓮(ハチス)の花がぽつちりと、莟(ツボミ)を擡(モタ)げたやうに、物を考へることを知り初(ソ)めた郎女であつた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
蓮は、池のも、田居のも、極度に長(タ)けて、莟(ツボミ)の大きくふくらんだのも、見え出した。婢女(メヤツコ)は、今が刈りしほだ、と教へたので、若人たちは、皆手も足も泥にして、又田に立ち暮す日が続いた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)