荒地こうち)” の例文
ブロンズに色づけられた荒地こうちがゆるやかな起伏をなして地平線の果てまでつづき、眼を遮ぎるものとてはただタヴィストックの教会の尖塔と
「わしはまた、明日あすから、次の新しい荒地こうちを耕やそう。仏の御光みひかりのとどかぬ所を、またその法悦を知らぬ衆生を導くのが、この愚禿ぐとくにふさわしいお勤めでもある」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼の華やかな紫の狩衣かりぎぬ紅錦こうきん陣半被じんはっぴえいに飾られたかんむりといえど、蒼白なその憂いにみちたおもてには、すべて、悲調を強めるものでしかなく、珠を失った龍か、瑞雲ずいうんを奪われて荒地こうちに怒る鳳凰おおとりにも似て
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)