草苅くさかり)” の例文
息もつかぬ強行軍である、ひた押しに進んで三日めの夕方には、いよいよ梟谷のてまえにある草苅くさかり峠へ着いた。
梟谷物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
顔を洗うと、真裸で芝生に飛び下り、ぎ立てのかまで芝を苅りはじめる。雨の様な露だ。草苅くさかりは露のの事。ざくり、ざくり、ザク、ザク。面白い様に苅れる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
木樵きこり草苅くさかり狩人かりうどの群が、解しかつ信じていた空想は粗野であった。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
それは草苅くさかりの少年でした。少年は毎日山小屋の近くへ草苅くさかりに来ました。そしてお昼のべんたうは、山小屋の炉で爺と一緒に食べました。爺はじぶんの子か孫のやうにして、この少年を可愛がりました。
天童 (新字旧仮名) / 土田耕平(著)