草疲くたび)” の例文
私は奥様には悪いと思いましたが、アルバート・ホールの初舞台より、この南條さんの髪結さんの方がよっぽど草疲くたびれてしまいました。
お蝶夫人 (新字新仮名) / 三浦環(著)
歩き廻っている内に草疲くたびれて了うばかりでなく、路に迷いもするということである。果してこの通りのことが起った。
一方へとへとに草疲くたびれきってしまった将校連はどうかというと、かつは謹聴しかつは拝観しながら、寝床こいしさに矢も楯もたまらず、こっそり袖口であくびをかくすという惨状だった。
接吻 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
勘三は如何にも草疲くたびれきったように、埃のかぶった頭髪をかきあげて
泣虫小僧 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
子供もお鈴も待ち草疲くたびれて眠ってしまいましたが蝶々さんだけは石像のように動かずじっと外を見まもっているのです。ここまでが第一場です。
お蝶夫人 (新字新仮名) / 三浦環(著)
かごかきはそれぞれ長い杖を持って自身を支え、二人は歩調を合わせ、そして駕籠は優しく、ゆらゆら揺れる。その後からもう一人、これは先ず草疲くたびれた者に交代するためについて行く。
一室に通された我々は、草疲くたびれ果てて床の上にねころがった。