茶餉台ちやぶだい)” の例文
旧字:茶餉臺
富岡は茶餉台ちやぶだいの徳利を取つて耳にあてて振つてゐたが、酒が残つてゐたとみえて、冷えた酒をコップにあけて、咽喉のどを鳴らして飲んだ。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
猪口ちよく一箇を置いた塗りの剥げた茶餉台ちやぶだいの前に、ふんどし一つの真つ裸のまゝ仰向けに寝ころび、骨と皮にせ細つた毛臑けずねの上に片つ方の毛臑を載せて
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
やがて部屋いつぱいに蒲団が敷かれ、床の間のところに、火鉢と茶餉台ちやぶだいとが片寄せられ、そこに、酒の支度が出来た。火鉢には炭がつがれ、青い炎をあげてゐた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
壁は白い紙で張りめぐらして、壁のくぎには花籠が吊つてあり、菊の花が活けてあつた。小さい茶餉台ちやぶだいの上に、ローソクがゆらめき、小さい箱からラジオが鳴つてゐた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)