茗渓めいけい)” の例文
そは江戸時代の漢学者が文字もんじの快感よりしてお茶の水を茗渓めいけいと呼び新宿しんじゅく甲駅こうえきまたは峡駅きょうえきと書したるよりも更に意味なき事たるべし。
矢立のちび筆 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
神田川にそそぐお茶の水の堀割は、両岸の土手が高く、樹木が鬱蒼うっそうとして、水戸みと家がへいした朱舜水しゅしゅんすいが、小赤壁しょうせきへきの名を附したほど、茗渓めいけい幽邃ゆうすいの地だった。
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
○御茶の水橋下流に至るまでの間は、扇頭の小景には過ぎざれども、しかもまた岸高く水しじまりて、樹木鬱蒼、幽邃ゆうすい閑雅の佳趣なきにあらず。往時むかし聖堂文人によりて茗渓めいけいと呼ばれたるは即ち此地ここなり。
水の東京 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)