苑囿ゑんいう)” の例文
右手めてなる岸の全景は、空想のセミラミスや築き起しゝ、唯だ是れ一大苑囿ゑんいうの波上に浮べる如くなり。その水に接する處には許多あまたの洞窟あり。
漢土の天子諸侯の生活には、林池・苑囿ゑんいうを荘厳するのが、一つの要件であつた。
万葉集研究 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
これをフアンタジア(空想)の君とはいふなり。われは唯だ平生夢裏に遊べる境界きやうがいを歌はんのみ。その中には同じ神女の宮殿あり、苑囿ゑんいうあり。
こは畫工のえうつさぬところなるべく、また敢て寫さぬものなるべし。あめ色の地に、橄欖かんらん(オリワ)の如く緑なる色の雲あるをば、樂土の苑囿ゑんいうに湧き出でたる山かと疑ひぬ。