花車はなぐるま)” の例文
牛が仆れると、燃えていた車蓋は、紅い花車はなぐるまが崩れるように、ぐわらぐわらと響きを立てて、ほぐれてしまった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
花車はなぐるまが、次つぎと競いあうように夜の深みへと馳せ上って、人びとの歓声がひときわ高くなった。
昼の花火 (新字新仮名) / 山川方夫(著)
お前の明るいおさげの頭が、あの梯子はしごを登った暗い穴の所へ、ひょっこり花車はなぐるまのように現われるのさ。すると、俺は、すっかり憂鬱がなくなっちゃって、はしゃぎ廻ったもんだ。
花園の思想 (新字新仮名) / 横光利一(著)
ことに『都之花』の巻頭の呼物よびものとなった「花車はなぐるま」は愚作であると思った。
美妙斎美妙 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)