次は江戸ッ子のお手本、花川戸助六はなかわどすけろく幡随院長兵衛ばんずいいんちょうべえに対照してヒケを取らない博多ッ子のお手本、故、篠崎仁三郎にさぶろう君を御紹介する。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
天気のよい時白帆しらほ浮雲うきぐもと共に望み得られる安房あわ上総かずさ山影さんえいとても、最早もはや今日の都会人には花川戸助六はなかわどすけろく台詞せりふにも読込まれているような爽快な心持を起させはしない。