舷窓げんそう)” の例文
舷窓げんそうをば火光あかりを漏らさじと閉ざしたれば、温気うちにこもりて、さらぬだに血気盛りの顔はいよいよくれないに照れり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
壁のまん中に、舷窓げんそうぐらいの穴が一つあいていた。そのあたりは、やや高くなり、壁も垂直にけずってあったが、ほりにくいせいか奥行のせまいたなのようになっていた。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
波のしぶきで曇った円るい舷窓げんそうから、ひょいひょいと樺太からふとの、雪のある山並の堅い線が見えた。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)