股旅またたび)” の例文
「もう一人の男は、鐵之助といふ遊び人で、松前鐵之助と違つて、股旅またたびの鐵之助といふちよいと苦み走つた、好い男の小博奕打ばくちうちで」
先刻までの俺だったら、一緒にまた高飛びの、股旅またたびかけた草鞋わらじ穿けと、いうところだが左様そうはいわねえ、お袋さん、何とか法がござんすか。
瞼の母 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
剣劇の股旅またたびものや、幕末ものでも、全部がまだ在来の歌舞伎かぶき芝居の因習のなわにしばられたままである。
映画芸術 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
股旅またたび物、三尺物の主人公が何で食っているかはいかにもはっきりしているが一歩すすんで
志士と経済 (新字新仮名) / 服部之総(著)
髪にも色気狂いのような釵子さいしやらかんざしやら挿して、亭主はおろか、股旅またたびでも、呑み助の暴れン坊でも、まちがえばちょいとつまんでほうり出すなどお茶の子だといわれているこのおばさんにしてさえ
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
身の置きどころは六十余州の、どこといって決まりのねえ空の下を飛んで歩く旅にんに逆戻り、股旅またたび草鞋わらじを直ぐにも穿こうか。(廊下の者が物に触れる、聞きつけて)だれだッ。(障子を開ける)
瞼の母 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)