くさぎ)” の例文
二年前両親にいなれ、いと心細く世を送れる独身者なり、彼は性質素直にして謹み深く、余の壮年のごとく夜遊びもせず、いたずらなる情人も作らず、家に伝わる一畝の田を旦暮たんぼに耕しくさぎ
空家 (新字新仮名) / 宮崎湖処子(著)
彼等は今はただ默つて土地を耕し、植え、くさぎり、收穫とりいれてゐることだらう。
生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
昨日の自己をさへ斬つて棄てれば、明日の自己に胃病は無いのである。貪食と健胃劑とは雜草同士の搦み合なのである。二者共にくさぎり去つて仕舞へば、健康體の精力は自然と得られるのである。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
ただいたずらに待っているわけではございません、耕し、くさぎり、肥料をやり、刈り取り、うすに入れ、有らん限りの人の力を用いた上に、なお人間の力ではどうすることもできない、雨、風、あらし
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ここに農家病人等ありて、耕しくさぎり手おくれなどの時、草多きところを先にするは世上の常なれど、右様の時に限りて、草少なく至って手易き畑より手入れして、至って草多きところは最後にすべし。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
然れば其は雜草を棄てて菜蔬にせねばならぬと信ずるのであるから、第一に先づ新にせねばならぬ舊いもの、即ち雜草を根きり葉きり、くさぎり去つて仕舞はねばならぬものである。舊いものは敵である。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)