羽交はが)” の例文
「もうよせよ、あにい」金太がうしろから、栄二を羽交はがい絞めにして引きはなした、「頼むからよしてくんな、おめえ小頭を殺しちまうぜ」
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
羽交はがじめにしたまゝ、欄干から引きはがさうとしましたが、この身投男は思ひの外の剛力で、容易に八五郎の手に了へません。
そして、羽交はがいじめに抱いたまま、その顔をのぞき込むと、自分のと、痩せこけた娘の顎の間から、絹糸のような血がタラタラと垂れたので
雲霧閻魔帳 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
佐吉はおしのを羽交はがいじめにした。うしろから羽交いじめにし、荒い息をしながら、頬へ頬をすりつけた。
五瓣の椿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「もとよりのこと」と男は、彼のからだを後ろから羽交はがい締めにしたまま
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、おどりかかって、もがき闘う美しい鳥を、羽交はがい締めにしながら
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
吉次は、地を蹴って観音堂の縁へとび上がったが、すぐ飛び下りて、光厳のうしろから羽交はがい締めに抱きすくめ、なお、死力を尽くしてもがき抜く光厳の耳元へ、蚊が啼くような小さい声で云った。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)