繃帯はうたい)” の例文
旧字:繃帶
けれども奇体なことは、の町に繃帯はうたいをしてゐる人も、きれで顔を押へてゐる人も、又実際に顔や手が赤くはれてゐる人も一人も見あたらないことでした。
毒蛾 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
そこへ私より一足遅れて権八が一人の仲間にれられて頭を手拭てぬぐひ繃帯はうたいしながら帰つて来た。かみさんはそれを見るとたちまち色を変へて狂気のやうになつた。
ある職工の手記 (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
いろいろな羽虫が本当にその火の中に飛んで行くのも私は見ました。また、繃帯はうたいをしたり、きれを顔にあてたりしながら、まちの人たちが火をたいてゐるのも見ました。
毒蛾 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
なるほど、さう云って出て行く給仕を見ますと、首にまるで石のをはめたやうな厚い繃帯はうたいをして、顔もだいぶはれてゐましたからきっと、その毒蛾にまれたんだと、私は思ひました。
毒蛾 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)