給仕人きゅうじにん)” の例文
で、お皿を下げに来た給仕人きゅうじにんの笑い顔を感じて、わたしはテーブルの人たちを見ると、みんな、あきれきった眼を丸くしてわたしにそそいでいるのだった。
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
だがしかし、あれは一体要するに、何をして遊ぶ処だか、あのややこしい、近代性は飲み込めないのだ、しかし、名称は女給仕人きゅうじにんだから給仕のつもりで控えている訳だろう。
めでたき風景 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
食事をしようと思えば、どうしても透明とうめいなぼくの顔を給仕人きゅうじにんや、きゃくの目にさらさないかぎり、肉のひときれも口にいれられないんだ。透明人間なんて、ほんとうになさけないものだよ。
給仕人きゅうじにんが料理を盛った大きな皿を運んで来て、客のうしろから好きな物を取れと勤めるたびに、通禧らは西洋人のするとおりにした。パアクスが鳥の肉を取れば、こちらでも鳥の肉を取った。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)