抽斎は『れい』の「清明在躬せいめいみにあれば志気如神しきしんのごとし」の句と、『素問そもん』の上古天真論じょうこてんしんろんの「恬惔虚無てんたんとしてきょむならば真気従之しんきこれにしたがう精神内守せいしんうちにまもれば病安従来やまいいずくんぞしたがいきたらん」の句とをしょうして、修養して心身の康寧こうねいを致すことが出来るものと信じていた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)