籬落まがき)” の例文
しょせんは野人の籬落まがきに見るべき花で、富貴の庭に見るべきものではあるまいが、われわれの荒庭には欠くべからざる草花の一種である。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
田野には低く夕靄ゆうもやが匍って離れ離れの森を浮島のように漂わした。近くの村の籬落まがきはまばらな灯の点在だけになり、大梁と思われる地平線の一抹の黒みの中には砂金のような灯が混っている。
荘子 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)