節奏せっそう)” の例文
何年何月何日にどうしたこうしたとあたかも口からまかせに喋舌しゃべっているようである。しかもその流暢りゅうちょうな弁舌に抑揚があり節奏せっそうがある。
カーライル博物館 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
文句は薩張さっぱり分らぬが、如何にも深い思いがあるらしく、誰かをさして訴うるらしく、銀の様な声をあげては延ばし、延ばしては収め、誰教うるともない節奏せっそう自然しぜんみょうって
漁師の娘 (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
其代り台詞せりふは日本語である。西洋語を日本語に訳した日本語である。口調には抑揚がある。節奏せっそうもある。ある所は能弁過ぎると思はれる位流暢にる。文章も立派である。それでゐて、気が乗らない。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)