税吏みつぎとり)” の例文
無学な漁夫と税吏みつぎとり娼婦しょうふとに囲繞いにょうされた、人眼ひとめに遠いその三十三年の生涯にあって、彼は比類なく深く善い愛の所有者であり使役者であった。
惜みなく愛は奪う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
クリストは一時代の社会的約束を蹂躙じうりんすることを顧みなかつた。(売笑婦や税吏みつぎとりらい病人はいつも彼の話し相手である。)
続西方の人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
クリストはヨハネの言つたやうに洗礼に唯聖霊を用ひてゐた。のみならず彼の洗礼(?)を受けたのは十二人の弟子たちの外にも売笑婦や税吏みつぎとりや罪人だつた。
続西方の人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
縦令たといその人が政治にかかわっていようが、生産に従事していようが、税吏みつぎとりであろうが、娼婦しょうふであろうが、その粗雑な生活材料のゆるす限りに於て最上の生活を目指しているのである。
惜みなく愛は奪う (新字新仮名) / 有島武郎(著)