福建ふくけん)” の例文
李旦という博多生れの福建ふくけん人は、こんなことには馴れきっているふうで、急ぎもせずにゆっくりと舵場へ上って行った。
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
和の率いる所の将卒二万七千八百余人、ふね長さ四十四丈、広さ十八丈の者、六十二、蘇州そしゅう劉家河りゅうかかよりかいうかびて福建ふくけんに至り、福建五虎門ごこもんより帆を揚げて海に入る。えつ三年にして、五年九月かえる。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
よしんば家庭のまわりを高塀が、ぐるりと囲んでいるにもせよ、まさか空気を遮断することは出来まい。つまり駄目だ! 江蘇浙江こうそせっこうは毎日戦争の防備をしているし、福建ふくけんと来たらなおさら盛んだ。
幸福な家庭 (新字新仮名) / 魯迅(著)
中でも崇福寺すうふくじの丹朱の一峰門が山々の濃緑からぬきん出て、さながら福建ふくけん浙江せっこうの港でも見るよう。
船の長さ十二間、幅四間、荷頭にがしら、ルイス新九郎、船頭ゼリコ庄兵衛のほか、乗組は福建ふくけん人、スマトラ人、マラッカ人で総数は百人ほど。船の大きさも乗組の数も御朱印船ごしゅいんせんの三分の一にも及ばない。
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)