祭文語さいもんがた)” の例文
道庵と、米友が、善光寺の仁王門を出でて札場のところまで来ると、そこで祭文語さいもんがたりが、参詣の善男善女の足を引きとめている。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
灰屋はいやかご、祭文語さいもんがたり、屑拾い、傘張り、夜鳴きうどんなど、もっとも貧しい人達がこのトンネル長屋にあつまって、いつもその狭い路地には、溝泥どぶどろの臭気と
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
聲が祭文語さいもんがたりのやうに錆びてゐたのと、足の惡いのは直ぐわかつたが、庭に飛降りた筈の曲者は、直ぐ姿を消してしまつて、多勢で搜したが、何處へ隱れたかわからなかつた。
声が祭文語さいもんがたりのように錆びていたのと、足の悪いのはすぐわかったが、庭に飛降りたはずの曲者は、すぐ姿を消してしまって、多勢で捜したが、どこへ隠れたかわからなかった。
悪い洒落しゃれだ……と米友もあきれましたが、これというのも、あの祭文語さいもんがたりを聞いて昂奮したせいだろう。祭文が無暗に武勇伝を語って聞かせるのも考えものだと、米友が思いました。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)