神出鬼没しんしゅつきぼつ)” の例文
お化け鞄は相変らず神出鬼没しんしゅつきぼつだし、目賀野たちが出頭して引取っていった只の鞄の方は、目賀野たちと共に目下行方不明とある。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
これでみても、いかに全事件が怪奇をきわめ、犯人「斬裂人リッパアのジャック」の行動がまったく探偵小説的に神出鬼没しんしゅつきぼつそのものであったかが推測されよう。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
みな、茨右近の神出鬼没しんしゅつきぼつぶりに感心するだけで、喬之助という影武者かげむしゃのいることには気が付かずに過ぎたのだった。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
このあいだの煙突さわぎの時の働きぶりでもわかるとおり、神出鬼没しんしゅつきぼつのチンピラ諸君は、おとなもおよばぬ腕がある。それに、小林と来ては、ぼくの片腕なんだからね。
青銅の魔人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
去年の暮あたりから風のごとく去来する怪賊、金高にして二三千両もかせいだことでしょうが、文字通り神出鬼没しんしゅつきぼつで、江戸中の岡っ引が、たばになって追い廻しても、なんとしても捉まりません。
銭形平次捕物控:124 唖娘 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
全く神出鬼没しんしゅつきぼつの怪漢蠅男のことだから、容易に捕る筈がない。しかもこの界隈かいわいは、人間の多いこと、抜け裏の多いことで大阪一の隠れ場所だ。
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
喬之助と右近の影武者同士は例によって神出鬼没しんしゅつきぼつをきわめ、魚心堂はその唯一の武器である別誂べつあつらえの釣竿を振り廻し、知らずのお絃ちゃんは男装している。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「ああ、怪賊烏啼か。烏啼のことなら聞いたことがあるが、若いくせに神出鬼没しんしゅつきぼつの悪漢だってね。一体どんな顔をしているのかな、その烏啼というやつは……」
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
神出鬼没しんしゅつきぼつという言葉があるが、これはまたどうしたというのだ!
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)