祗園ぎおん)” の例文
熱いうちにも寂しい感じのする百日紅さるすべりの花が咲く頃と成った。やがて、亡くなった子供の新盆あらぼん、小諸の方ではまた祗園ぎおんの祭の来る時節である。
芽生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
祗園ぎおんの祭には青簾あおすだれを懸けてははずし、土用のうしうなぎも盆の勘定となって、地獄の釜のふたの開くかと思えば、じきに仏の花も捨て、それに赤痢の流行で芝居の太鼓も廻りません。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)