磨針峠すりはりとうげ)” の例文
先以まずもっ磨針峠すりはりとうげからこの山の下三里がところまで押しかけて、そこでかたまっている一まきが、こいつが剣呑けんのんだということを御承知願えてえんでございます、そいつがみんな胆吹へ
このままで行けば、江州へ入って磨針峠すりはりとうげを越えて京都へ入るのであるが、前にもいった通り伊勢参宮をしたいのであるから、太田の駅から船に乗って木曾川を下って、勢州まで行くことにした。
鳴雪自叙伝 (新字新仮名) / 内藤鳴雪(著)
忠太郎 あッおかみさんは憶えがあるんだ(思わず膝を進め)顔に出たそのおどろきが——ところは江州阪田の郡、醒が井から南へ一里、磨針峠すりはりとうげの山の宿場で番場ばんばという処がござんす。そこのあッしは。
瞼の母 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
やがて渋いところで政所まんどころのお茶を一服いただき、お茶うけには甘いところで磨針峠すりはりとうげのあん餅、多賀の糸切餅、草津のうばもち、これらをばお茶うけとしてよばれ候上は右と左の分け使い
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)