砂塵さぢん)” の例文
自動車の旅と少しも変らない程、砂塵さぢんが何処からか吹き込んで来るのには、二人とも閉口だつた。どんな贅沢ぜいたくな設備も、黄ろい砂塵の吹きこむ列車は不潔である。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
枯野行く幌馬車マアチヤの軋みきこえゐて春浅きかなや砂塵さぢんあがれり
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
自動車の太輪ふとわ砂塵さぢんもうもうとたちけむりつつ道のの桜
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
みれば砂塵さぢんを蹴立てつゝ、路無き原を直道ひたみち
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)