真水まみず)” の例文
湯を立ててもらって、久しぶりに塩気しおけのない真水まみずの中に長くなって寝ている最中に、湯殿の戸をこつこつたたくものがある。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
見ていると、真水まみず潮水しおみずの中で、ほんとにみんなが生きて泳いでいるような気がします。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
それは、真水まみずの匂いであった。極度に渇している彼の鼻は、犬のように鋭くなっているのだった。彼は、水の匂いを嗅ぐと、その方角へ本能的に走り出した。唐竹の林の中を、彼は獣のようにくぐった。
俊寛 (新字新仮名) / 菊池寛(著)