直衣ひたたれ)” の例文
皆黄いろな頭巾を被って、鎧を着、錦の直衣ひたたれを着けて、手に手に長いほこを持っていた。武士は壇の下へきて並んで立った。
牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
このとき、次男源大夫判官兼綱、この日紺地の錦の直衣ひたたれ唐綾縅からあやおどしの鎧を着て奮戦していたが、父の危急をみると、ただちにとって返して防ぎ戦った。
今生こんじょうにて今一度竜顔を拝し奉らんために参内仕りて候ふと申しもあへず、涙を鎧の袖にかけて、義心其の気色に顕れければ、伝奏いまだ奏せざる先にまづ直衣ひたたれの袖をぞぬらされける。
四条畷の戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)