目堰めせき)” の例文
笠の目堰めせきをぴたりと向けて、じっと見澄ます自斎には、変り果てた新九郎を、その昔、小野の道場で出会ったあの青年とは思いも付かぬらしかった。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それも目堰めせき網といって一番網目の小さい網をセッセと自分でつくろって、那珂なか川の砂洲を渡り歩いたものであった。
梅津只円翁伝 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
弦之丞は、迷惑きわまる様子をして、勝手に、襟元をつかませていたが、笠の目堰めせきから、つらつらその男の顔を見ると、これはまたまんざら縁のない者でもない。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「オオ、ここにいたか!」と子供たちの側へ来て両手に抱きこむと、姉弟ふたりも嬉しそうにすがりついた。と、侍はまた、編笠の目堰めせきから水明りにお久良の姿をすかして
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふと呟いた玄蕃は、ぴたと足を停めて、編笠の目堰めせきから、じっと何かをみつめだした。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
唐犬びたいの伊達とは違って、黒羽二重の紋服に、業刀わざものらしい二本の大小、りゅうと長めに落して、いつも二人の乾分を連れ、深編笠の目堰めせきから、チラとのぞけるおもざしは絶世の美男子
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)